お寿司屋さんに行けば、必ず用意されている醤油。そもそもなぜ、寿司に醤油をつけるようになったのか、ご存知ですか? 今回は、なぜ寿司には醤油を合わせるのか、そしてネタにあわせた醤油の楽しみ方を紹介したいと思います。
Index |
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1.もともとお寿司は保存食。「酢」に合わせて食べていた |
2.醤油の種類と特徴を知っておこう |
もともとお寿司は保存食。「酢」に合わせて食べていた
ご存知の方も多いかもしれませんが、寿司はもともと保存食として誕生しました。
魚を塩とお米で漬け込み乳酸発酵をさせる「なれずし」が原型で、当時はお米の部分は除去して魚のみを食べていました。時代が下ると、発酵させる時間を待たずに、酢を使って酸味を加えるようになり、酢飯が誕生したといわれています。
また、「なます」が原型といわれる刺身も、黎明期には醤油ではなく、酢にあわせて食べられていました。
江戸時代には、刺身に合わせる調味料として「煎り酒」が登場し、酢以外のさまざまな調味料が使われ始めました。そして江戸時代中期ごろから、醤油が普及し始め、保存のしやすさなどの利点から煎り酒にとってかわったことから、徐々に醤油が寿司につける調味料として普及していったものと考えられます。
醤油の種類と特徴を知っておこう
最近ではスーパーでも、濃口(こいくち)、淡口(うすくち)、さしみ醤油、はたまた卵かけご飯専用醤油(!?)など、様々なタイプの醤油を見かけるようになってきましたよね。何に、どんな醤油が合うのか迷ったら、種類別の特徴を知っておくとよいかもしれません。
日本農林規格(JAS)で定められている「醤油の種類」には、以下の5種類があります。
・濃口(こいくち)醤油
もともとは関東で誕生した、濃い色の醤油です。香りや色、味のバランスに優れていることから全国へと広まっていき、現在では、日本で作られている醤油の8割以上が濃口醤油と言われています。スタンダードなタイプの醤油で、卓上の調味料としても、煮物や焼き物にも、オールマイティーに使えます。
・淡口(うすくち)醤油
関西でうどんを頼むとだしが澄んだ淡い色をしていますが、そのように主に関西で煮物やお吸い物、うどんつゆなどに使われる醤油です。淡い色合いで、香りも濃口醤油に比べてうすめなので、素材そのものの風味を活かすのに向いています。
製法としては、高濃度の食塩で発酵・熟成をおさえ、併せて醸造期間を短くしているため、じつは濃口に比べて塩分濃度は高めです。
・たまり醤油
愛知県を中心に、中部でよく使われる醤油です。濃口醤油、淡口醤油は大豆と小麦をほぼ同量ずつ用いますが、たまり醤油は大豆100%で、うまみ成分が非常に多いのも特徴です。
お刺身にも使えますし、うなぎのたれや、煎餅、焼き餅などに使うと、風味や赤っぽい独特の色が引き立ちます。
・再仕込み醤油
山口県が発祥の、二度醸造する製法をとられる醤油です。色が濃く、どろりと濃厚な醤油で、お寿司やお刺身によく合います。
・白醤油
たまり醤油とは逆に、小麦粉を主原料とした醤油です。淡口醤油以上に色、香りともにうすいので、隠し味的に用いられることがあります。
鮨 辰也 (タツナリ)

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