先日、嬉しい臨時収入があり「これは焼肉でしょ〜!」とたっぷり牛さんのいろんな部位を堪能し、幸せを味わって参りました。
ハラミにロース、サーロインにイチボ・・・あぁ〜美味しい美味しいと食べ進めていく中に出てきた「ホルモン」。今まで考えていなかったけど、海外ではこうやって焼肉やホルモンを焼いて食べたり、赤提灯の定番である「モツ煮込み」って食べているイメージがないですよね。
焼肉のルーツは韓国? それともジンギスカン? もしかして日本オリジナルなの?
ということで、今回は「焼肉」のルーツを紐解きながら、牛さんを余すことなくいただく牛肉の食べ方について探求してみたいと思います!
Index |
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1.日本では約1,200年もの間「肉」が禁止されていた? |
2.「ホルモン」の語源 |
3.もつ・ホルモン焼きで美味しい部位をご紹介! |
4.大阪のどて焼き、名古屋のどて煮など、ご当地ホルモン料理は多数! |
日本では約1,200年もの間「肉」が禁止されていた?
焼肉のルーツをたどるために、『焼肉の文化史』(佐々木道雄・著/明石書店・刊)を読んでみると「焼肉は、北京原人が初めて食べた料理である」と書かれてありました。北京原人が食べていたお肉はマンモスだったのかもしれませんが(笑)、焼肉というと牛だけでなく、豚にトリ、最近ではジビエ料理としても様々な肉が食べられ、熟成させてから食べたり、生肉をお寿司で食べるなど焼肉以外のバリエーションは日々増加していますよね。
しかし、日本における肉食文化を振り返ってみると、実は肉食を法律で禁止していた時期があったのです!!
それは675年天武天皇による「肉食禁止令」なのですが、4足で歩く動物(牛や豚)が禁止されており、明治維新で肉食を推奨されるまでの約1,200年ほど禁止令が続いたと言われています。しかし禁止とは言いながらも、イノシシは山クジラと看板を出して食べられていたり、牛鍋を明治維新で解禁される前から食べていたなどなど肉文化が全くなかったというわけではないようですが、国として「お肉食べるな!」と決まっていたなんて、今では想像つかないですよね。
そのため日本で「肉料理」が大きく発展してきたのは明治時代以降。様々な部位を楽しむようになったのは、長い歴史でみるとごく最近だということがわかります。
「ホルモン」の語源
様々な肉料理が楽しまれるようになった中でも独自に発展してきたものが、牛や豚の「ホルモン」と言えるでしょう。焼いたり、煮込んだり、臭みはあるけど栄養価も高く、女性の人気も高いホルモンですが、どうしてホルモンと呼ばれるようになったかご存知でしょうか。ホルモンの語源には『ギリシャ語で呼び覚ますという意味の「ホルマオ」からきている』『ドイツ語・英語の医学用語からきている』など諸説あるようですが、『焼肉の文化史』によると、以下のように書かれてありました。
以下引用
“ | ホルモンは「放るもん」という大阪弁から生まれたという説がある。これは、戦後の食糧難の時期に、日本人が食べずに捨てていた牛や豚の内臓を、在日が拾って料理したことから、大阪弁で「放るもん」と呼ばれ、これが変化して「ホルモン」になった、というものである。また、日本人が食べないで土に埋めて捨てたものを、掘って持ってきたから「掘りもの」になり、やがて「ホルモン」になったという説(柳 尚煕『食べて知る韓国』毎日新聞社、1988年)もある。 | ” |
「放るもん」からホルモンになったなんて面白い解釈ですよね! もともと日本人は戦前から内臓も食べていたということもあるので「放ってなかった!」という説もあるそうなのですが、こうやっていろんな議論がされることもホルモンの魅力のひとつかもしれませんね。
もつ・ホルモン焼きで美味しい部位をご紹介!
「ホルモン」の語源はわかったけど、「もつ」は? と気になったそこのあなた! 「もつ」の語源は「臓物(ぞうもつ)」の略称と言われており、実は同じことを意味しているので、絶対にこれはもつと呼ぶ! ホルモンと呼ぶ! ってルールは現代においてはなさそう。ちなみに、国語辞典を引いてみると・・
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ホルモン:牛・豚などの臓物。
もつ:鳥獣の料理で臓物のこと。
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と記載があったので、牛肉の臓物を焼いて食べる時には「ホルモン焼き」が正しいのかもしれませんね。
では早速、ホルモン焼きでこれは知っておきたい部位をご紹介していきます!
◆ コプチャン
牛の小腸。
プルプルの脂が特徴です。切り裂かずに腸をひっくり返してぶつ切りにしたものを丸腸(マルチョウ)と呼ばれているので「マルチョウ」で覚えている人も多いかも。最近では『厚木シロコロ・ホルモン』なんてB級グルメでご存知の方も多いかもしれませんね。
◆ ミノ
4つある牛の胃袋のひとつ目。
厚みもあり、弾力性もすごいので「ホルモン食べたいけど飲み込むのが苦手で」という方は、ミノを食べていた可能性が大! ホルモンのなかでは臭みが少ないので、焼肉の箸休めなんかにぴったりです。
◆ ハチノス
4つある牛の胃袋のふたつ目。
蜂の巣のような見た目で、名前そのまんまなのですが、ミノよりも柔らかく、さっぱりとした風味を楽しめます。焼きすぎると硬くなってしまうので、「ホルモンはじっくり焼かないと・・・」と思っている方は注意! 下処理で茹でられているので、サッと炙るくらいで楽しみましょう。
◆ シマチョウ(テッチャン)
牛の大腸。
ホルモン焼きと聞いて真っ先に浮かぶのがシマチョウ(テッチャン)という人も多いのではないでしょうか。焼肉通に言わせると、シマチョウで店のクオリティがわかるそうなので、キングオブホルモンと言ってもおかしくない! 焼肉はもちろん、炒め物や煮込みにもおすすめの部位です。
海外ではここまで細かく部位を楽しむ文化はないのかな? と調べてみたところ、アメリカ人のYoutube動画を発見しました。心臓部分の「ハツ」を食べて「センセーショナルだ!」と言ってますので、ここまでたくさんの部位を楽しむ文化はあまりないようですね。
お時間ある方、ぜひチェックしてみてくださいませ。
https://www.youtube.com/watch?v=Gl0LXvaf0_Q
北新地 やまがた屋

大阪のどて焼き、名古屋のどて煮など、ご当地ホルモン料理は多数!
ホルモンは焼くだけでなく、煮込みでも美味しいですよね。たっぷりの味噌で美味しさをギュッ! と閉じ込めた「どて焼き」「どて煮」は想像するだけでよだれが出ちゃいます。
鉄鍋に味噌を盛って、その中央で具材(牛すじや豚もつ)を焼いたところに味噌を溶かしながら煮込まれていくことから、どて焼き・どて煮と呼ばれるようになったそうなのですが、大阪と名古屋では呼び名だけでなく、調理方法もちょっと違っている様子。
大阪のどて焼きの場合は、牛すじ肉を串にさして、白みそなどで味付けをしているのが一般的なのですが、名古屋のどて煮は、串には刺さず八丁味噌で味付けをします。同じ具材や作り方でも、地域の風土に合わせてそれぞれが発展していったようです。食べ比べながら旅行とかできたら最高ですよね!
日本にはまだまだたくさんの「ご当地ホルモン料理」があります。私の地元・岩手にも中華鍋で出てくるにんにくたっぷりなホルモン鍋があったり、煮込みの味付けも塩・味噌・醤油とバリエーションも多数。何気なく口にしているホルモンも、一度ルーツを辿るように食べてみるとちょっとワクワクしてきませんか?
つるたちかこ
1985年生まれ、岩手県育ち、下町在住。喫茶店やレストランに出てくる「お冷」について考察する初代・お冷研究家。本人はあまり自覚していないが、相当なこじらせ女…らしい。
instagram:https://www.instagram.com/chika_ziburi/
炭火焼肉 なかはら

鉢山
