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大切な人と共にするテーブル、
素晴らしい食材と腕が組み合わさった料理、
感動的な接客と空間など、レストランでの食事体験は
あらゆる面からその価値を向上させることができますが、
ここ最近、科学的な側面からその食事体験を”最適化”をする
取り組みが注目されているのをご存じでしょうか?

例えば卵の黄身と白身を特定の温度で瞬時に固める研究や、
フォアグラを泡にすることで新しい食感を作ったり、
トマトピューレをアルギン酸ナトリウムで固めてトマトを
再定義するなどの調理方法が挙げられるのですが
こういった非常に前衛的な取り組み、調理スタイルを
「分子ガストロノミー」という言葉で表すことができます。
※ガストロノミー(美食学)という言葉に化学的、物理的という
意味の「分子」が合わさることでできた言葉です。

もともとは料理という芸術に対して、
いかに科学的な立場から迫れるか、
そしてそれをよりよいものにできるかという発想のもと、
約20年前にフランスで提唱された概念です。

食材の分子、つまり構成要素そのものに焦点をあて、
どのような条件下(温度や湿度など)で他のどの分子と
結合するのかなどを研究され、そしてそれが
どのように私達が感じる味わい、舌触り、見た目に
影響するのかというものを突き詰めていくという、
科学的に食事体験を捉え直すものと言えます。

その分子ガストロノミーを世に知らしめたレストランが何度か
このブログでもご紹介しているフェラン・アドリア氏率いる「エル・ブリ」です。
(世界で最も予約がとれないレストランとして名声を得るも現在は閉店中)
人の五感すべてに働きかけ、さらに、“人の脳をびっくりさせる”料理」と
多くの人に評され、1年に200万件もの予約申し込みがきていたといいます。
その数だけでも驚異的ものなのですが、ここで提供される
料理の数々にも驚かずにはいられないでしょう。

el bulli

el bulli2

el bulli3

el bulli4

いかがでしょうか?もはや「料理」というよりも「芸術」の
粋に達していることを感じられるかと思います。
フェラン・アドリア氏の料理はこれまでの伝統料理の
レシピと素材を徹底的、かつ科学的に分解して、
組み立てなおし、全く新しいものに作り上げていくという
メソッドをとっており、この”普通じゃない”やり方には多くの
批判も寄せられると言います。(新しいものにはつきものですよね。)

そういった中、彼は「素材の味を最大限に引き出し、
元以上の高みに持って行くこと。
」を信念としながら、
素材そのものが私達に与えうる潜在的な可能性を
科学的に実証しようとしています。
特に彼の料理で有名なのは「エスプーマ」と呼ばれる
食材を泡にする技術ですね。亜酸化窒素を使ってあらゆる
食材をムースのような泡状にすることができる
画期的な調理法として、注目を浴びています。

el bulli espuma

(アドリア氏は現在は分子ガストロノミーの研究を加速させるべく
エル・ブリ財団を起ち上げるなどして鋭意活動中です。)

彼と同様に有名なのがロンドンに構える三ツ星レストラン
ファット・ダック」のヘストン・ブルメンタール氏でしょう。
「多感覚料理」とも呼ばれる彼の料理は味覚・嗅覚・聴覚に強く
訴えてくるのはもちろん、聴覚にまで訴えてくるといいます。
「海の音色」というカキ、ハマグリ、ムール貝、海藻などの
素材を使った料理ですが、なんと波の音が入った「iPod」が
“添えられて”でてくるといいます。
食事体験をあらゆる側面から押し上げようとする
革新性が見て取れるのではないでしょうか

thefatduck

フランスの物理化学者エルヴェ・ティスによって初めて
提唱されたこの分子ガストロノミーだけあって今は
ヨーロッパを中心に盛り上がりを見せている分野ですが、
徐々に日本でもこういった料理が味わえる場所が増えてきております。
分子ガストロノミーは日本食からも影響を受けていると言いますし、
繊細さを持ち合わせた日本人には相性がよさそうな料理法であるとも
感じます。最後に日本で分子ガストロノミー料理を体験することができる
3つのレストランをご紹介しますので、気になる方は
ぜひ足を運んでみるのはいかがでしょうか?

タパス モラキュラーバー

タパスモラキュラーバー

 

サイトから転載———-

モラキュラー キュイジーヌは、斬新な食の実験室のようなエンターテインメント。
38階のシックな「オリエンタルラウンジ」内にある
スシバー スタイルのカウンターがシェフのステージです。

2時間のディナーコースは、才能あふれるシェフがお客さまの目の前で、
ひと口サイズの料理を20品以上ご用意。
新しい食感や香り、斬新なアイデアが驚きを与え、
一皿毎に完成された美味に感動することでしょう。
1日2回のディナーのみで、1回につき8席限定です。

レフェルヴェソンス

レフェルヴェソンス

サイトから転載———-

「レフェルヴェソンス」直訳すると「活気」、「泡」という意味をもち、
物ごとを起こす・生み出す・進化する・そして人々を集わすという
意味も含まれています。もともとRestaurantの【原意】は
「restaurer=回復させる」と言われています。

山田チカラ

yamadachikara

『エル・ブリ』のフェラン・アドリア氏に師事をしていた経験を
もつ山田チカラ氏によるレストラン。和洋の垣根を超えた美味と供し方を
模索した中で、辿り着いたひとつの答えである「茶の湯」を取り入れた
全く新しい体験ができるレストランです。

飲食業界の中で最も革新的な「分子ガストロノミー」という
ジャンル、みなさまはいかが感じましたでしょうか?
ポケットコンシェルジュでもこのような新しい価値を模索していく
レストランをみなさまにもっと身近に感じて頂けるよう
尽力していきたいと思います。
引き続き応援のほどよろしくお願いします。

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